第2回宮崎ローカルスタートアップイベント開催しました

浅井農園の浅井氏、元Twitter Japanの佐々木氏が来訪。
資金調達や事業成長のヒントを得よう!
宮崎のスタートアップ起業家と、投資家や実業家をつなぐ場です。
ピッチを通じて、ビジネスアイデアを投資家に直接アピールし、資金調達や事業拡大のチャンスを掴むきっかけをつくります。
【事業目的】
宮崎県内のスタートアップの成長を加速させ、地域経済の活性化に貢献する。
新規事業創出を促進し、地域産業の多様化を図る。
地域の既存企業の事業承継を支援し、持続可能な地域経済の実現を目指す。
【事業概要】
3ヶ月に1回程度、宮崎県内のスタートアップ企業を集め、投資家向けにピッチイベントを開催します。
ピッチ時間:5分 x 3名
審査基準は、事業の革新性、市場性、チーム力
ピッチイベントを通じて、スタートアップ企業と投資家との個別面談をセッティングします。
ピッチ資料、事業計画書作成支援、資金調達に関するアドバイスを行います。
【こんな方におすすめ】
・資金調達に興味がある方
・既存企業や自治体との連携に興味のあるスタートアップ、事業開発担当者
・社会課題解決に情熱を持つ起業家
・自治体や既存企業と共に、新たなプロジェクトを生み出したい方
【タイムスケジュール】
18:30:開場
19:00:パネルディスカッション
(モデレーター齋藤理事、(株)浅井農園 浅井様、(株)デジタルガレージ佐々木様、MOC村岡理事)






19:50:休憩
20:00:起業家ピッチ
(ピッチ5分、フィードバック5分合計10分×3名)






20:30:終了



開催レポート
スタートアップが地域を元気にする!
〜大盛況だった宮崎の魅力と起業家発掘のイベント〜
2024年4月に設立した私たちは、通称を「MOC(モック)」、正式には「一般社団法人宮崎オープンシティ推進協議会」という、民間主導の事業支援団体です。宮崎県のローカルスタートアップや地域企業のイノベーション、食産業・農業の革新と発展、交流・共創の場を生み出すため、定期的にイベントを開催し、宮崎の起業家・投資家をつなげ、チャレンジへ一歩踏みだす後押しをしたいと考えています。
今回は、国内トップクラスの農業生産法人・浅井農園の浅井雄一郎氏と、Twitter日本展開を主導した元Twitter Japanの佐々木智也氏を迎えて、パネルディスカッションおよび地元企業によるピッチイベントを開催した様子をお伝えします。
「なぜスタートアップが必要なのか」という問いから、事業のコツや地域の魅力といった話題にまで広がった本イベント。立場を超えた交流が生まれた当日の様子をお伝えしたいと思います。
学びが得られない「やらないリスク」
週半ばの水曜開催だったにもかかわらず、定員を上回る観覧申込があった今回のイベント。会場となった若草HUTTE & co-ba MIYAZAKIの2階には、席移動が難しいほど人が集まり、イベント開始前から高い熱量に包まれていました。
開幕のプログラムは、MOC理事の齋藤潤一氏をモデレーターに、「地域におけるスタートアップの重要性」を語るパネルディスカッション。講師ゲストは、浅井農園の浅井雄一郎氏と、株式会社デジタルガレージの佐々木智也氏です。
浅井氏は、三重県にある花木生産の家業をミニトマト生産へと転換し、年商14億円という国内トップクラスの農業生産法人まで育て上げました。「研究開発型の農業カンパニー」を目指し、常にイノベーティブな姿勢で農業に取り組んでいます。
農業の課題といえば、従事者の平均年齢が68.7歳という高齢化と担い手不足です。しかし浅井氏は、過去に農地を借りたくても借りられなかった苦い経験を例に挙げ、「上の世代が居座って若い世代がチャンスを得られないことが本当の問題だ」と提起します。地域という枠組みに当てはめても、プレイヤーが少ないという同様の課題がありますが、こちらも「地域が発掘できていないだけ」と断言。
三重大学では、農業者であり研究者でもあるアグロノミスト(農学士)を育てる取り組みがあり、浅井氏も7年間通って、トマトの品種改良に打ち込みました。この経験が、地域に在りながら自分をブラッシュアップする良いきっかけになったといいます。「より多くの地域プレイヤーをエンパワーメントする(自身の長所や潜在能力を引き出す)仕組みをつくれば、地域はもっとおもしろくなるのでは」と期待をにじませました。
浅井氏の話に、「新たな“なくてはならないもの”をつくるのがスタートアップ。それらがどんどん出てくる社会って、とてもワクワクしますよね」と笑顔を見せたのは佐々木氏です。
Twitterを日本に展開した立役者として知られる佐々木氏は、起業家や創業直後の企業に対して事業支援を行うシードアクセラレーター「Open Network Lab」に参画されています。これまで支援してスタートアップ企業は150社以上!
数多くの事例を見てきた佐々木氏は、スタートアップで成功するのは「パッションと最後までやり遂げる覚悟を持った“ヘンタイ”だ」と分析します。こうしたチャレンジャーを生み出すためには、失敗談を共有し、質問を直に投げられる関係性を築けるコミュニティが必要だと語ります。
では具体的にどんな失敗談があったのか。佐々木氏は「資金調達した3億円をスッたことがある」と、とんでもない金額の失敗エピソードを暴露。この日一番のどよめきが会場に起こりました。しかし佐々木氏は「“やるリスク”と“やらないリスク”を天秤にかけてほしい」と語りかけます。
「やるリスクは、僕みたいにお金がなくなり、投資家に頭を下げるだけ。だけどやらなければ、何の学びもありません。失敗して初めてわかることがあり、次の事業でフィードすればいい。大事なのは『あいつまたダメだったな』とチャレンジした人を叩く気風ではなく、『失敗してもいいから次頑張ろう』と応援するコミュニティです」(佐々木氏)
かつて4000万円の債務超過を背負い、プロジェクトが1つでも躓けば倒産の危機にあった浅井氏も、「失敗は必ずするものですからね」と深く頷きます。斎藤氏も「我々全員、億単位の借金がありますから」と、さらに会場を驚かせていました。
“選ばれる地域”になれ!
パネルディスカッションの話題は、宮崎ではどうか?という話題へ。佐々木氏いわく、IPOやM&Aなどで投資リターンが返ってくるスタートアップは、200社中わずか1社ほど。驚く斎藤氏は思わず「宮崎にはスタートアップといえる企業は数社に留まり、なかなか増えない」と呟きます。
佐々木氏は「地方の成功の鍵は、2代目社長など後継者のエンパワーメントを引き出すエコシステムでは」と、地域の豪族企業に着目。また浅井氏は、会社のように地域も選ばれるだけのリターンがなければならないと説きます。
「社員は人生という投資をして、会社から給料ややりがいというリターンをもらいます。世にたくさんある選択肢の中で、いかに投資に値するリターンの高い会社になれるかどうか。地域(自治体)も一緒で、人生に対するリターンが高くないと選ばれません。では住みたいと思ってもらうにはどうするか?その手段のひとつが、スタートアップだと思います」(浅井氏)
15年ほど地方再生に関わり続けた結果、「行政に頼らないスタートアップで、産業と雇用を作るのが一番の地方再生の近道だ」と考えている斎藤氏も、浅井氏のこの意見には大賛成。
とはいえ、先の見通せないこの世の中、自らが地域で成すべきことは何か、暗中模索している人も少なくありません。浅井氏は拠点のひとつで、人口3万人の北海道伊達市を例に挙げ、プレイヤー同士の顔が見える小さなコミュニティから、町の解像度を高めることが、地域を盛り上げる第一歩だ、と会場に語りかけます。
「自分の得意分野から、少しずつ見識を得て目を向ける幅を広げてみてください。そうして地域の解像度が上げ、自分の持てるリソースや能力の中から優先順位をつけてアクションしたら、自然と変化が起こると思います。地域を元気にしたい、エンタープライズな人を呼び込みたいと思うなら、まずは地域住民が主体性を持って行動しましょう」(浅井氏)
佐々木氏は、今後のスタートアップへの投資は厳選され、新たな仕組みが誕生するだろうと、トレンドの大きな変化を予想。目まぐるしく変化する社会だからこそ、「世界中の人が試行錯誤しているんです。我々も実行に移さないと、なにも始まりませんよ!」とチャレンジャーへのエールを送ります。
最後に斎藤氏が「農業も地域もスタートアップも、やったもの勝ちなのは一緒。スピード感がキーワードですよ、みなさん!」と会場に語りかけて、パネルディスカッションは終了しました。
地元宮崎の起業家がピッチに挑戦
続けて、地元起業家3名によるピッチが行われました。最初に登壇したのは、株式会社ベルコードの代表取締役・大西将也氏。宮崎市内で、アロマ製品の開発・製造・販売を行っています。
大西氏は3年かけて開発した、電気・火・水不要の持ち運べるアロマ 「AROPO」を紹介。カイロに似た、開封すると発熱する「ヒートシート」に少量のアロマを垂らすことで、旅先のホテルから車、テントの中まで、どんな場所も瞬時に憩いの空間にできるという優れものです。
この「ヒートシート」はわずか10gと軽く、複数回の使用が可能。さらに消臭や虫除けなどの効果も期待でき、自動車メーカー、ホテル業界などさまざまな業界と商談を進めています。また輸送がしやすい・繰り返し使える・そのまま土に還せるというメリットを活かして、10か国での特許取得(6か国は取得済み)と市場進出が目標です。
商品には自信と手応えを感じている大西氏ですが、用途が多すぎるため的確なアピールができていないのでは、と考え登壇。「ヒートシートで手軽に香り・効能を熱拡散させ、人も地球も健やかになる空間をデザインしたい」と締め括った大西氏に、観覧者から大きな拍手が送られました。
午前中に店舗を訪ね「AROPO」を購入した浅井氏は、「出張先でテンションを上げられる嬉しいアイテムだ」とアイデアを絶賛。佐々木氏も「ひと言で商品の特徴を想起させる工夫が必要だが、ユーザーの声をもっと掘り下げれば十分PRができるはず、やればいいじゃん!」と太鼓判を押しました。
2人目に登壇したのは、株式会社FREEPOWER INNOVATIONS代表取締役・浜元真規子氏。父娘の二人三脚でギアの研究開発などを行っています。海外の日系企業とともに開発した自転車ギアでは、従来のものより23%以上の効率化を実現しました。
この原理を応用して、独自にモーターギアを開発。動力を持つさまざまな機械に取り付けられるため、さまざまな業界で効率アップを担えると浜元氏は自負します。
一方で大きな課題は資金調達です。製品化には大きなコストがかかりますが、投資家に資金提供を受けるには製品化が必須…という抜け出せないスパイラルに陥っているといいます。
製品化を実現し、ライセンスビジネスまで持っていきたいと夢を語る浜元氏に、佐々木氏は「たとえば大学とジョイントベンチャー(※)を立ち上げては」と具体的な道筋を提案。 ※複数の企業が互いに出資し、新しい会社を立ち上げて事業を行うこと
浅井氏からは「どうやるかよりも、何のためにやるかビジョンを明確にすると投資家に訴えかけられるかも」とアドバイスがありました。エネルギー効率化による化石燃料の削減など、実現したい社会を全面に出して製品化へとつなげてほしいと語りました。
3人目は、県産カカオ豆を作りたいと考えている宮崎カカオの代表・大田原尊之氏。カカオのフレーバーが栽培段階から変化することに着目し、クラフトビールのように唯一無二の嗜好品を生み出すため、豆の栽培から手掛けています。
カカオ豆の産地のほとんどは、赤道を挟んで南北緯20度以内にあります。それらの地域に比べて涼しい宮崎で、どれだけ栽培期間の短縮や収穫量のアップができるかが課題です。大田原氏は、地元企業と共同でLEDライトを活用した実証実験を行い、宮崎での安定した生産を目指しています。
また2024年は木を枯らすウイルスの蔓延によって、価格が3倍以上に高騰する「カカオショック」が起こりました。現在行っている実証実験は、世界的なカカオ豆不足を解消するための、新しい栽培技術の確立も目指しているそうです。
三重大学でカカオの研究をしていた経験から、ぜひ連携できたらと浅井氏。佐々木氏も「自己資金を集めて事業を拡大するのも手じゃないですか?あとでゆっくり話しましょう」と期待を寄せました。
宮崎にも素晴らしい起業家やビジネスが生まれつつある、という希望に胸を踊らせたところで、ピッチは終了。MOC理事の村岡浩司氏が「大変刺激を受ける会でしたね、こうしたコミュニティが新しい取り組みが生まれるきっかけになれば嬉しい」と挨拶してイベントは幕を閉じました。
場所を移動して、登壇者・起業家・観覧者が入り混じっての交流会が行われました。中には「一緒に事業をやりませんか?」「近々視察へ伺いますね!」と具体的な話が挙がった人も。
こうした距離の近さ、立場を超えた交流を生み出すことこそ、私たちMOCが作りたいと考えている場です。今後もチャレンジャーの背中を後押しし、起業家・投資家をつなげるイベントを開催していきます。ご期待ください。
<登壇者プロフィール>
株式会社浅井農園 代表取締役CEO
浅井 雄一郎氏 博士(学術)
大学卒業後、経営コンサルティング会社等を経て、三重県津市にある家業(花木生産)を継承し、第二創業として2008年よりミニトマトの生産を開始。品種開発~生産管理~加工流通まで独自の農業バリューチェーンを構築しながら生産規模拡大に取り組み、国内トップクラスの農業生産法人に成長。近年は、施設園芸と果樹園芸の複合経営に挑戦し、キウイフルーツやアボカド等の農地集積による大規模園地開発に取り組む。
農業経営の傍ら、三重大学大学院においてトマトのゲノム育種研究に取り組み、博士号を取得。農作業者ではなく「Agronomist(農学士)」の育成に取り組み、「常に現場を科学する研究開発型の農業カンパニー」を目指す。
2013年に辻製油および三井物産との合弁会社「うれし野アグリ」、2018年にデンソーとの合弁会社「アグリッド」を設立し、農商工連携により次世代型農業のモデル構築に挑戦している。
株式会社デジタルガレージ
執行役員 佐々木 智也 氏
2005年デジタルガレージ入社。グループ戦略事業に従事し、Twitter日本展開を主導。2010年よりシードアクセラレータープログラムOpen Network Labに参画、現エバンジェリスト。2018年、北海道新聞社とD2Garageを設立し代表取締役に就任。2023年、北海道スタートアップエコシステムビルダーSTARTUP HOKKAIDO副委員長を現任。スタートアップの発掘から投資・育成までサポート。(株)デジタルガレージ執行役員、(株)DGインキュベーション取締役副社長、(株)D2Garage代表取締役を現任。
イベント名 | 宮崎ローカルスタートアップ ピッチイベント |
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開催日程 | 2025/01/15(水) |
開催場所 | 若草HUTTE & co-ba MIYAZAKI (宮崎市橘通東3丁目5) |
地図 |
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参加費 | 無料(懇親会参加費:3,000円) |